2016年7月27日水曜日

第7回〜テストの実際(その1、導入編)

半導体は、写真製版技術を使って、シリコンウエハ上に全く同じチップを数百個から千個分、繰り返し回路を焼き付けて作ります。そして、製造途中での良否は外観検査でしか判定できず、良品か不良品化の判定は、全ての工程が終わって、実際に回路を動かしてみないとできません。

この判定をすることをテストと読んでいます。「テスト」という単語はとても一般的な単語ですが、半導体設計製造の世界で「テスト」というと、主としてこのことを指します。

良品・不良品の判定をするということは、ここで不良を見逃すと、お客様のところに不良品が出荷されてしまうということから、とてもシビアな業務であると言えます。

判定のスペックを決めるための色々な業務として以下のようなものがあります。

  • 試作品評価による動作検証
  • 各種特性取得(DC特性、AC特性)
  • 取得したデータの処理とデータの吟味
  • 特性が設計目標値を満足しているかどうかの認定
  • 判定スペック決定
  • スペックを入れ込んだ量産テストプログラムの作成
  • お客様への製品納入時の選別条件のお約束をする納入仕様書作成
  • 量産工程への公式な製造仕様ドキュメントとして設計部が発行する製造図面の作成

これら、帳票類の整備などの様々な業務も含めた業務をテスティング業務と考えて、これらの業務全般がテスト担当者のミッションとなります。

さらに、大規模なLSIのテストを効率的に実施するための、様々な仕掛けを製品の中に入れ込んでおくテスト容易化設計のための様々なアドバイスを製品設計者に対して行うこともあります。

このテスト容易化設計は、大規模な製品を少ない時間で効率的にテストをするために必須の考え方で、この検討が行われていないと、量産工程の能力を不必要に落としてしまったり、最悪テストが出来ない、ということになりかねません。
業務範囲に関しては、会社によって異なるようです。上記は私が所属していた会社での例です。とある会社ではLSI設計者は一切テストにはタッチせず、試作着工後に設計ドキュメントとデータを以てテスト担当部署に業務移管する、という話も聞いたことがあります。
これから何回かに分けて、このテストに関する話をご紹介したいと思います。

2016年7月16日土曜日

番外編〜どんなスクリプト書いたっけ?

第1回のテストベクタの加工、そして第5回の正規表現のお話で、sed、awk、そしてperlでスクリプトを書いて、長大なテストベクタの中から加工する箇所を見つけたり、実際に加工したりしたということを書きました。

実際どんなスクリプトを書いたかな?と、思い出しがてらperlのスクリプトを書いてみました。

2016年7月13日水曜日

第6回〜アナログテストでごめんなさい その2

アナログテストでごめんなさい、第2回目です。

今回は、テスト抜けがあって市場不良を出してしまった話です。

なぜテスト抜けとなってしまったのか、すでに全く覚えていないのですが、原因はともかくどのようなテスト抜けが起こっていたのかは覚えているので、ご紹介します。

LSIのテストは結構長い期間メイン業務としてやっていましたが、担当製品で明らかなテスト抜けが原因の市場不良を起こしてしまったのはこの製品だけです。

しかも、担当から外れていた時期に市場不良が出たので、後始末を他の方がやってくださって、20年近く経った今でも、お客様及び後始末をして下さった方には本当に申し訳なく思っています。

2016年7月7日木曜日

第5回〜半導体屋だけど正規表現にはお世話になりました

前回のawkのお話の一件以来、仕事の中でミスの混入を防ぐだとか、効率的に仕事をするという観点から、小技として仕事でスクリプト言語を使う頻度が増えました。

 EWSの普及と、自分の席にあるパソコンがネットワークにつながって、パソコンからEWSにリモートログインできるようになったことも機会が増えた理由ではあります。

私が扱った設計データ、内製設計ツール用のネットリストファイル、Verilog HDL、LSIテスターのテストプログラム、テストパターンはみんなテキストファイルで、ものによってはテキストエディタで簡単に開くことが出来ないような巨大なものもあります。ですから、テキストエディタで開くことなく修正、加工をしたいわけです。

そこで役に立つのがsedやawk、perlです。これらのコマンドを使って対象文字列をサーチしながら加工すると、対象ファイルがいくら巨大でも大丈夫です。そして、このsed、awk、perlのスクリプトの中で、加工対象文字列を探すために欠かせないのが正規表現(Regular Expression)です。

正規表現っていう言葉、わかりにくい言葉ですけれど、色んな文字列を一つの文字列で表現するために考えられたもの、と言いましょうか・・・それ自身がわかりにくいですね。

2016年7月4日月曜日

第4回〜レイアウト設計でawkのお世話になったお話

入社5年目ぐらいの頃に、自分が所属していた会社が設計拠点を青森県五所川原市に作る動きになり、私を含む3名がロジック系のグループとして、五所川原に異動ということになったのでした。

そこで私待ち受けていたのは、お仕事全然な〜い!っていう状況からの、設計拠点の立ち上げのための様々な雑務、そしてやったこともないチップレイアウト・・・

でも、レイアウト設計に関するノウハウみたいなものは、自分的には全くないので(笑)、さすがに書けません。が、持てる知識を総動員して、なんとか切り抜けた、っていうお話です。